
古色とは、物や絵・建築・工芸品等が長い年月を経て日光や風雨にさらされた結果、 若干色褪せて古びた色合い、またはその様子のことです。
古色を帯びるとその色調は新彩時の鮮やかさはなくなり、落ち着いたものとなります。 塗装を施していない生地の木材は自然の風化により褐色に変化するが、これもまた古色です。
伝統工芸の世界では、新しく制作する際にわざと古びた様子に仕上げることがあり、 このような手法を「古色仕上げ」と呼びます。
建築の世界では、一般に古色と言えばこの「古色仕上げ」を意味します。 寺社などの伝統建築物の修復では新補材に古色をつけて古材との統一を図ります。
古色仕上げの手法には、自然で古びた質感を出す伝統的な天然顔料を用います。
弁柄、紅柄(べにがら)等の当て字で書き表されます。 名前の由来は、最初にインドのベンガル地方から輸入されたためと言われています。
赤色顔料としては、朱とともに最も古くから世界中で用いられていました。 日本では縄文早期の東釧路貝塚などが古い例として知られています。
基本的に暗赤色 赤褐色ですが、組成や酸化鉄の純度、製造の際の加熱温度などによって色合いに変化があります。
一般に加熱温度が低いと黄味を帯びた赤色、温度が高いと赤色が多くなり黒色をおびます。
油類、樹脂類を不完全燃焼させて作った●を集めた炭素黒色顔料です。 松材を原料とするものを「松煙」、菜種油などの油類を原料とするものを「油煙」と呼びます。
黒色顔料として古くから様々に用いられ、東洋では墨、西洋ではインクの材料として使用されました。
基本的に純粋な黒色ですが、白色顔料と混ぜると青味のある灰色を作ります。
正式にはビスマークブラウン。暗褐色の粉末状であるため日本では通称茶粉と呼ばれます。
主に絹の染料として生産されています。木材との相性がいいため、近年は寺社などの修復時の古色に最も多く使われます。
水に溶かして木材に塗布すると鮮やかな橙色を発色します。透明性があるのが特徴であり、木材の美しい肌合いや木目を損ないません。
ウルトラマリンとも呼ばれます。鮮明な青を持つ代表的な青色顔料です。
他の白色顔料に少量加えて真白く見せるためによく使用されます。食料品に使っても無害です。 着色料としては印刷インキ・絵の具等広範囲に使われます。
渋柿から得られます。淡赤褐色半透明の液体で酸味のある特有のかおりがあります。
防水、防腐効果を持つため塗料染料として広く用いられました。
塗布乾燥直後の色はごく薄い茶色であるが、日光に当たるほど濃い褐色に発色します。
柿渋は伝統的に家具類・器等の漆下地、魚網の強度向上のための網染め染料、酒袋や木桶の補強、 紙類の防腐、防水剤などに利用されました。また、砥粉と混ぜて家屋の柱に塗ることもあります。
漢方薬としても利用されています。
カキ、蛤、ホタテ貝などの貝殻を粉砕したものです。水に溶いて白色顔料あるいは体質顔料として使用されます。
酸化鉄を含む粘土を水●して製したもの、あるいは砥石を山から切り出す時に出る石の粉末淡黄褐色または白色顔料体質顔料です。
粒子が微細かつち密なため刀剣を磨いたり木材の塗装および目止め、充填剤、塗装下地などに使われます。
天然に産する土を精製して得られる黄土顔料です。原料の土は鉄鉱石や長石が自然風化してできたもので古代から使用されている顔料です。
酸化鉄および酸化マンガンを着色成分とする茶色の顔料です。主にヨーロッパ各地に産する粘土から精製します。
銀朱ともいわれる赤色顔料です。特に良質なものは中国の産地名にちなみ辰砂(しんしゃ)と呼ばれます。
古くから高級塗装、漆器、絵画用などに広く使われてきました。
動物の皮、骨、腱、内蔵膜を主要原料として水と熱して得られた抽出液を濃縮して乾燥したものです。
膠の起源は3000年前のエジプトにおける家具製造とされます。主として木工などの接着剤として日本でも古くから広く用いられました。
また、顔料を溶かし接着する展色剤として絵具や墨の重要な材料でした。現在製品として乾燥した棒状のものと工業製品である液状のものがあります。